竣工をむかえました..|静岡県浜松市の大石設計室は、民家工房法・伝統木工法を駆使した木造住宅・古民家再生を専門とした設計事務所です。「真壁造り」「土・紙・石などの自然素材」「住まいやすさ」など、古い民家に詰まったたくさんの知恵を受け継いだ「民家を継承した家」をつくり、次の世代に残していきたいと考える木造民家・古民家再生工房です。

竣工をむかえました..

2022.03.13

竣工をむかえました...

一年前、まずは土蔵とはというお話しから始まった改修工事。

今日は竣工をむかえた現場の完成写真の撮影を...

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

始めて土蔵に入ったとき「土壁が貫に絡んでいない珍しいつくりなんだけどどうなっているんだろう?」とそんな話をしたのを思い出します。そのご調査を進めてみると、なんと土壁では無く「煉瓦積み」だったことが判明。この煉瓦積みがどのように積まれているのか、構造的に大丈夫なのか、そしてどう改修していくのか、工期や予算のことを含めそんな課題解決にに多くの時間が掛かりました。

40~50年前に大改修がなされていた土蔵ですが、その後の老朽化が思いの外ひどく、1階の柱や梁、土台は内側に新しく組み上げることに。土壁の無かった構造躯体は構造用合板で補強することに。

残したかった屋根の瓦と土でしたが、残念ながら老朽化がひどく全て葺き替えることに。土はアルミ遮熱シートと断熱材に..

蔵内の方は新しい躯体の石膏ボードに漆喰塗りの仕上げで復旧。2階の床は既存の床板の上に構造用合板で剛床を取り新しいスギの床板を。

外壁は煉瓦積みをワイヤーメッシュとラス網で落下崩壊防止対策をとり、漆喰塗りの仕上げで復旧..

最後に頭を悩ませたたのが「なまこ壁」の改修。実は以前の改修の際、なまこ目地や敷き瓦、外壁の漆喰部分はほとんど塗装されていました。敷き瓦部分もふくめどう改修していくのか..もちろん予算の面、工期の面はつねに離れることは無く、すごく難しい選択をせまれました。最終的には、敷き瓦はきれいにケレンしてそのままに。なまこ目地はきれいにケレンした後、漆喰塗りの仕上げで復旧。新設するなまこ壁については、敷き瓦部分は黒漆喰で、なまこ目地は昔ながらの伝統的な施工で復元しました。

全体的に老朽化の大きかった土蔵でしたが、設計から施工を一年間という短期間でなんとかかたちにすることが出来ました。

みなさんお疲れさまでした、ありがとうございました。悪いところを直してもらい、きれいに着飾っていただき土蔵もよろこんでいてくれるようでした...

そんなことを思いながら今日はお昼から夕暮れまで撮影を楽しませてもらいました。



 

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